ダメな飲食企業とは?
「このまま、この会社にいても大丈夫か?」 飲食業界で働……
最近、飲食店のグルメサイトやSNSでよく見かけるようになった言葉があります。
「子連れNGです」
「静かに食事をしたいお客様のために、10歳以下のご来店はご遠慮ください」
「予約時に“子どもがOKか”を事前に確認しておいてください」
いまや子どもは、“特別対応が必要な存在”として扱われることすら当たり前になってきた。
でも、本当にそれでいいのでしょうか?
飲食店の経営者として、そして社会の一員として、私は声を大にして言いたい。
子どもこそが、飲食店にとっても、社会にとっても、最も大切にされるべき存在である。
それは、感情論ではなく「経営戦略」であり、「文化継承」であり、「共生社会の根幹」だからです。
子どもは、今はお子様ランチ一つで静かに過ごしてくれる「低単価客」かもしれません。
しかしその体験は、10年後、20年後に「思い出」となって戻ってきます。
「小さいころ、家族で行ったあの店、美味しかったな」
「自分の子どもにも連れて行きたいな」
そうして生まれる再来店・世代を超えたファン化こそが、ブランドにとって何より強い財産です。
家族での外食は、子どもの「行きたい」によって決まる場面が多い。
「キッズメニューがあるお店がいい」
「前にもらった塗り絵のところ、また行きたい」
子どもが笑顔になれるかどうかが、家族4人分の客単価を左右しているのです。
一人の子どもが、家族全員を連れてくる。それはもう、営業担当レベルの貢献者です。
子どもが笑顔になれば、親は写真を撮ってSNSに投稿します。
「〇〇くんが大喜びだったお店、めっちゃ良かった〜」
その投稿は、何千円かけた広告よりもよほど強い説得力を持ち、自然な紹介として広がっていく。
子どもは“未来の顧客”であり、“家族の連れてくる起点”であり、“宣伝力を持った存在”でもある。
飲食店が本気で長く愛されたいなら、子どもを大切にしない理由は一つもないのです。
料理も、接客も、地域らしさも、どれだけ素晴らしくても「体験されなければ記憶されない」。
そして、その記憶を継ぐのは常に子どもです。
子どもを受け入れる店とは、文化を残そうとする店。
子どもを閉め出す店とは、今の利益だけを見て文化を切る店。
よくあるのが、「子どもがうるさいから迷惑」と一括りにされるケース。
でも本来の問題は、「それに対処しようとしない大人」の側にあるのです。
一部の親が注意を怠ったことで、“すべての子ども”が悪者扱いされてしまう社会は異常です。
声の大きい人間だけが正しく、小さな声の人間が黙らされる──
それはまさに、排除と同調圧力の温床です。
近年は、子どもを産まない・産めない・選ばない人も増えています。
結果として、「子ども=自分とは関係ない存在」になっている人が非常に多い。
でも、それって本当に「個人の自由」で片付けていいことでしょうか?
子どもが迷惑に見える社会は、想像力と共感力を失った社会です。
「関係ない存在」を大切にできる社会こそが、全員にとってやさしい社会です。
飲食店はただ料理を提供するだけの場ではありません。
人と人とが交差し、五感と感情を共有する「小さな社会の縮図」です。
だからこそ、私たちはそこに「子どもがいてもいい」「子どもが笑っていていい」空気をつくりたい。
🍀 子どもを“追い出す”のではなく、“迎える”という選択を。
🍀 子どもが騒いでも、「大丈夫だよ」と言える飲食店を増やしていこう。
🍀 子どもが笑っていられる社会は、大人も安心して生きられる社会だから。
それだけでも、「また行きたい」が生まれます。
そしてその“また行きたい”が、飲食店にとって最大の財産なのです。