飲食店の原価率は“構成比”で決まる。「高くても儲かる」設計のロジック、全部見せます。

「うちは原価が高すぎて…」と悩む前に。 原価率40%でも利益を出せる店は、“こう組んでる”。

飲食店の原価率は“構成比”で決まる。「高くても儲かる」設計のロジック、全部見せます。
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飲食店をやっていると、よくこんな声を聞きます。
「うちは原価が高いから、利益が残らないんですよね…」

でも本当にそうでしょうか?
実は、原価率が高くても利益を出している店はたくさんあります。
その違いはたったひとつ、“構成比を設計しているかどうか”です。

本記事では、ランチ中心でも原価を抑え、30%台の原価率で高粗利を出している実例をもとに、
原価率の「正しい見方」と「儲かる設計の作り方」を徹底的に解説します。

✅ 原価率だけ見ても意味がない本当の理由

「この料理は原価が高い」「このドリンクは儲かる」といった単品の原価率だけを見ても、実は経営全体の利益には直結しません
飲食店の利益を決めるのは、「どれをどれだけ売っているか」、つまり売上構成と原価率のかけ算です。

たとえば原価率が50%の料理でも、それが全体の売上のごく一部なら影響は小さい。
逆に、原価8%のドリンクが売上の3割を占めていれば、それだけで全体原価率は大きく下がるのです。

また、誤解されがちですが「ランチ=高原価」ではありません。
むしろランチは構成次第で原価を調整しやすく、利益設計の要にすることも十分可能です。

✅ ランチでも原価率40%前半は実現できる

「ランチはどうしても原価が高くなる」
そう思っているなら、それは“構成”の問題です。

たとえば、ふぐの唐揚げやハラミのような高原価メニューを主力にしながらも、
上天ぷら(原価31%)、単品そば(原価20%)といった低原価商品を組み込むだけで、
全体の原価率は45%→42%台へと一気に改善されます。

実際、単品そばを数食加えただけで原価率が3%も下がったという結果もあるほど。
つまり、ランチの原価率は「商品ごとの高さ」ではなく、“組み合わせ方”でどうにでもなるということです。

組み合わせこそ、原価コントロールの最強手段。

✅ 売上構成を変えれば、原価率はコントロールできる

原価率は「高いか低いか」ではなく、“どこで売上を作っているか”で決まります。

たとえば、

  • ランチ売上:120万円(原価率43%)
  • ドリンク売上:30万円(原価率8%)
  • その他の売上:60万円(夜の単品や定食など)

という仮想ケースを考えてみましょう。

このとき、ドリンクの原価率が低いため、その他の売上がたとえ46%の原価でも、全体の原価率は39%以下に抑えられるのです。

つまり、「どこで儲けるか」を設計すれば、原価率は思い通りに作れるということ。

→ 高原価の料理も使っていい。ただし「比率」でコントロールすればいいだけの話です。

✅ 原価率を制する者は「配分」を制す 〜黄金公式〜

原価率を本当にコントロールしたいなら、覚えておくべき式があります。

 原価率 =(各売上セグメント × その原価率)の合計 ÷ 総売上

この式の意味はシンプル。
つまり、原価率は“売れたものの組み合わせ”で決まるということ。

ここで重要なのは、「どこを削るか?」ではなく
「売上比率が高くて、原価を下げやすい部分から削る」という考え方です。

たとえば、ドリンクやランチが全体の6〜7割を占めているなら、
そこを1〜2%下げるだけで、店全体の原価率は一気に下がります

→ 原価は“計算”じゃなく、“構成”で操作する。
これが飲食経営の現場で効く、実践的なコントロールの黄金則です。

✅ まとめ:原価は「削る」ものではなく、「デザインする」もの

飲食店の原価率は、単品の数字を見ても答えは出ません。
利益を生み出すカギは、「どの商品を、どの比率で売るか」という全体設計にあります。

高原価の商品は、お客様の期待を引きつける“主役”として。
低原価の商品は、粗利を支える“土台”として。

どちらも意味があり、役割がある。
だからこそ原価は「悪」ではなく、戦略と演出をかけ合わせて使いこなすべき“設計素材”です。

もし今、原価が高いからとメニューを削ろうとしているなら、
それは素材ではなく構成のバランスを見直すべきタイミングかもしれません。

原価は、削るのではなく、デザインするもの。
その視点を持てば、あなたの店の利益はもっと自在に作れるようになります。