💡赤字でも倒産しない企業の秘密

潤沢な運転資金を作る“借入戦略と資金防御の技術”

💡赤字でも倒産しない企業の秘密
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もくじ

🧨なぜ「お金さえあれば赤字でも潰れない」のか?

倒産の本当の理由は、利益が出ないことではなく、現金が尽きることです。

つまり──

経営においては「キャッシュがあるか」が“生きるか死ぬか”を決める。

これは、一流の経営者や財務担当者であれば誰もが口にする、最も単純で、最も重要な経営原則です。


📉「利益があっても潰れる」一方で「赤字でも潰れない会社」がある

  • 創業5年連続赤字でも潰れず生き延びるスタートアップ
  • 税引前利益マイナスでも人材採用を続ける大手企業
  • 「まだ黒字化してない」と言いながら毎年拡大するグループ会社

これらの共通点はひとつ。

潤沢な資金調達力=防御力の高さ

彼らは、「利益」ではなく「お金が続く仕組み」を経営の最優先に置いているのです。

🌂「銀行は晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」

🔎意味(経営者向け解説)

  • 「晴れの日」=業績が良く、順調なとき → 銀行は喜んで融資する。
  • 「雨の日」=業績悪化、資金繰りが厳しいとき → 銀行は融資を渋り、回収に走る。

つまりこの格言は、

銀行は「お金が必要な時」ではなく、「返せるとき」にしか貸さない
という皮肉を込めた現実を表しています。


💬この格言が伝える教訓

  • 「お金が必要になってから動く」では手遅れ
  • “今は借りなくても借りられるうちに借りておく”という経営的発想が必要
  • 融資は“信用の延長”であり、“同情の施し”ではない

🧭これをふまえて経営者が持つべき姿勢

  1. 利益が出ているとき・売上が伸びているときこそ、資金調達のチャンス
  2. 銀行に対しては、業績が良いうちに信頼と実績を積む(定期的な接点や資料提出)
  3. 「備え借り」は恥ではなく、防御であり戦略

🛡潤沢な運転資金を確保する「7つの実践的な防御策」〜詳解編〜


① 小規模企業共済

目的:節税しながら“借りられる非常用口座”をつくる

✅ 特徴:

  • 月1,000〜70,000円まで自由に掛金設定
  • 掛金は全額所得控除(節税効果が非常に大きい)
  • 廃業や引退時には「退職金」として受け取り可能
  • 積立額の約90%までを即日融資(契約者貸付)として借入可能(無担保・無審査)

✅ 活用シーン:

  • 「税金を減らしたいけど、現金も減らしたくない」時
  • 「手元に300万円あるけど、それを会社に置いておくのが不安」なとき
    → 共済に“預けておく”ことで税引き後の資金防衛になる
    → 必要ならすぐ借り戻せるので、貯金と借入のハイブリッド防御

② 経営セーフティ共済(倒産防止共済)

目的:「取引先が潰れたとき」だけでなく「資金繰りの貯金箱」として活用

✅ 特徴:

  • 月5,000円〜20万円まで掛金可能(上限800万円)
  • 掛金は全額損金扱いで節税効果◎
  • 積立の95%までを即日貸付(無担保・無審査)

✅ 活用シーン:

  • 実際には「倒産対策」よりも「いつでも出せる資金プール」として使われている
  • たとえば「繁忙期に税金納付が重なって資金が足りない」など
    → 申請すれば最短2日程度で現金が振り込まれる(本当に速い)

③ 日本政策金融公庫(国金)

目的:創業時・成長時の味方として“継続取引”を視野に入れた活用を

✅ 特徴:

  • 無担保・無保証で創業融資(500万〜1,000万円)を受けられる可能性あり
  • 初回完済後に「実績」として見てもらえる→2回目・3回目の資金調達が容易に
  • 毎月の返済負担が軽く設定される(据え置き期間を設けやすい)

✅ 活用シーン:

  • 「創業直後だけ」で終わらせず、定期的に“付き合い続ける”戦略
  • 例:「2年ごとに100万円ずつ借りて、事業資金に回し、返済と同時に実績を積む」
    → 銀行よりも柔軟で“赤字でも借りられる唯一の金融機関”

④ 信用保証協会付き融資・プロパー融資(地銀・信金)

目的:金融機関との信用構築。借入→返済→実績のサイクルを回す

✅ 特徴:

  • 信用保証協会の保証がつけば、創業数年でも融資が通りやすくなる
  • 「プロパー融資(保証なし)」は難易度が高いが、将来の目標に
  • 金利は民間銀行の方が安い場合が多く、長期利用にも向く

✅ 活用シーン:

  • 決算黒字 or 月次収支が安定してきた段階で「前借り」
  • 「これから広告費をかける」や「人を増やす予定」など未来に先んじて借りる
    → 返済して信用を積むと、次回以降の借入額や条件が大きく変わる

⑤ クレジット支払い/ファクタリング/リースバック

目的:借金せずに資金繰りを“コントロール”するテクニック群

✅ 特徴:

  • クレジットカード払い:支払いを翌月にずらせる(仕入・備品に活用)
  • ファクタリング:未入金の売掛金を即日現金化(資金回収の前倒し)
  • リースバック:設備をいったん売って、月額費用で使い続ける(即資金化)

✅ 活用シーン:

  • 「今は借金したくないけど、現金はすぐ必要」という場面で使える
  • 飲食なら、POS連携で売上入金が遅い場合(UberEats、クレカ回収など)のカバーにも有効
    キャッシュフローの“時間差”を利用した資金防衛術

⑥ 補助金(ものづくり補助金・事業再構築補助金など)

目的:成長投資に“返済不要の資金”を活用する

✅ 特徴:

  • 採択されれば最大で1,000万円〜1億円規模の補助金が受けられる
  • 「事業再構築補助金」などは高額だが、審査が厳しい(事業計画力が必要)
  • 自己資金・資金調達との合わせ技が前提となるケースが多い

✅ 活用シーン:

  • 新業態・新メニュー・新設備など「拡張」に関わる部分で活用できる
  • 専門家と組んで書類を整えれば、中小飲食店でも十分にチャンスはある
    → 「借りる」前に「もらえる」を検討するのは合理的判断

⑦ 売上が伸びるタイミングで“先に借りておく”という逆転発想

目的:「資金ショートになる前」に資金を確保するプロ的予防策

✅ 特徴:

  • 多くの経営者が「足りなくなってから借りる」ため、資金調達が間に合わない
  • 実際は、「売上が上がっているとき」の方が、融資は通りやすい&条件が良い
  • 「返済原資がある状態」こそが、金融機関の好む姿

✅ 活用シーン:

  • 「繁忙期の利益」を全部使い切らず、「3ヶ月後の納税・社保支払い」に備える
  • 「2号店を出す前に設備費用・広告費用を確保しておく」

→ “晴れの日に傘を借りておく”ことが、雨の日に自分を救う唯一の方法


🧭結論:「キャッシュは防具、借金は戦略」

  • これらの手法を組み合わせることで、潤沢な運転資金という“盾”を得る
  • 借金=悪 ではなく、「借りる力がある=経営力がある」と見なされる時代
  • 赤字でも倒産しない企業は、“お金の流れを読む力と防御設計”を持っている企業

むしろ、「借りる力があること=信用力・経営力があること」と評価される時代です。


💬【補足】日本人が抱える「借金=悪」という古い価値観のアップデートが必要

日本社会には、根深い「労働者的な発想」があります。

  • 「借金はしてはいけない」
  • 「コツコツ貯めて、自分の手持ちの中でやりくりすべき」
  • 「返せないと怖いから借りない方がいい」

この考えは、家庭の家計や個人の金銭感覚としては正しい面もあります。
しかし、企業経営にはまったく通用しません。


🔄経営者がアップデートすべき3つの認識

  1. 借金は「悪」ではない。むしろ「信用を形にしたもの」
  2. 現金が尽きたら、黒字でも倒産する。それが企業のリアル
  3. 経営者は“資金を集める技術”も事業の一部と考えるべき

❗初心経営者ほど、この思考転換が生死を分ける

「借りる=負け」
「自分の実力でやりきるべき」
という精神論的な自力信仰は、時に最悪の結果を招きます。

実際、資金繰りに悩みながらも「借りられたのに借りなかった」ことが原因で倒産した例は、日本中に山ほどあります。


経営者とは、借金で失敗する人ではありません。
借金をしなかったことで失敗する人の方が圧倒的に多いのです。


✅ だからこそ、今こそ必要なのは

「借りない強さ」ではなく、「借りられるうちに備える知恵」。

これは、ただの資金繰りの話ではなく、
“日本人の経営者思考を未来にアップデートするための第一歩”でもあります。