来るまでに、1年半かかった世代。

― 信頼だけを積み上げてきた食堂に、いま“次の主役”が集まりはじめた ―

来るまでに、1年半かかった世代。
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がぶ飲み食堂・庄内店に、 最近、20〜30代の新しい世代のお客さんが増えてきました。 カップル、友達同士、大学生らしきグループ。

「最近、若い人も来るようになったね」 そんな言葉をかけられるようになったのは、ごく最近のことです。

でもこの流れが生まれるまで、1年半という時間がかかりました。


「すぐに飛びつかれなかったのは、悪いことじゃなかった」

オープン当初は、正直焦りました。 近隣の話題店はSNSでバズり、連日行列。

それに比べて、うちは地元のお年寄り、ご家族連れ中心で、 いわゆる“感度の高い世代”はなかなか入ってこなかった。

「うちのスタイル、ズレてるのかな……?」 「もっと派手なプロモーションしないとダメ?」 そんな風に迷った時期もありました。

けれど、今振り返ってわかるのは——

来るまでに時間がかかったのは、 “本当に信頼できる場所かどうか”を見ていたから。


コスパだけじゃない。“ここでしか食べられない”料理の力

私たちは何度もメニューを改訂しました。 グランドメニューも、コア商品も、何度も入れ替えてきました。 メニューブックも何冊も作り直しました。

でも、一度たりとも「映え」や「SNS狙い」には振り切らなかった。

なぜなら、がぶ飲み食堂の料理は メーカーの冷凍品をただ温めて出すようなものではないから。

ここでしか食べられない、我流の料理。 食堂という名にふさわしく、お酒を飲まない人にもちゃんと満足してもらえる内容。

最初は「がぶ飲み酒場」と名乗っていましたが、 それも途中で「がぶ飲み食堂」へと変更しました。

食堂だからこそ、誰でも気軽に立ち寄れて、 どんな人にも“帰ってこられる味”を。

そんな想いでやってきました。


今、“空気が変わり始めている”

このところ、明らかに空気が変わってきました。 SNSに店名が出る回数が増え、 「なんか最近、ここ混んでるね」と言われることも。

大きな声で宣伝したわけではありません。 チラシをバラまいたわけでもありません。

じわじわと、口コミと体験だけで積み重ねた信頼。 それが、ようやく“次の世代”に届きはじめた。


がぶ飲み食堂は、“食べる場所”から“過ごす場所”へ

ここからは、さらに次の進化を目指します。

がぶ飲み食堂は、ただのごはん屋さんではなく、 大切な人と一緒に、気兼ねなく過ごせる場所を目指しています。

トランプや人生ゲームといったボードゲームも揃え始めました。 地元でゆるく、楽しく過ごせる“溜まり場”のような食堂。

料理を楽しむだけじゃない。 会話がはずむ、心がほぐれる。

そんな店づくりを、これからも続けていきます。


「文化」としてのがぶ飲み食堂へ

流行ではなく、文化。 消費ではなく、信用。

1年半かけてようやく届き始めた今、 これからもその“深さ”を育てていきたいと思います。

そして、 「来るまでに時間がかかった人たち」が、 「何度も帰ってくる人たち」になる。

そんな景色を、もっと広げていきたいです。