「現場が得意=経営ができる」は大きな勘違い
1.「現場で重宝される人」が最も起業で失敗しやすい理由 ……
日本の飲食店では、日々多くの人が低賃金・長時間労働という過酷な環境で働いています。朝から晩まで仕込み・営業・片付けに追われ、週休1日、月収20万円以下という環境も少なくありません。
しかし、その努力が「将来の独立」や「経営スキルの習得」につながるかといえば、答えはNOです。
多くの飲食店では、仕込み・調理・接客・清掃などの業務は徹底して標準化・分業化されています。これは効率化という意味では正しい選択ですが、そこで働くスタッフにとっては、「考える」「設計する」「数字を見る」機会が一切与えられないことを意味します。
つまり、
という状態に、多くの飲食人が置かれています。
現場において店長・社員が育てられるのは「現場を回せる人材」であり、「経営を担える人材」ではありません。
なぜなら、一般の飲食企業や個人店には、以下のような余白が存在しないからです:
結果として、経営の根幹は経営者の中だけに閉じられ、スタッフは“実務の奴隷”として機能するだけの存在になりがちです。
もっと根本的な問題として、日本の飲食業界では“労働者”と“経営者”の間に越えられない壁があります。
多くの飲食人は、
つまり、一生懸命働けばいつか独立できるという幻想は、構造的に成立しないようになっているのです。
仮にそのような現場で10年働いたとします。
しかし、
この状態で独立したらどうなるでしょうか? → 「好きな料理を出したい」だけで開業 → 想定外の支出・集客難 → 半年で資金ショート・廃業 という末路が、今全国で繰り返されています。
多くの飲食人が軽視しがちですが、飲食店の経営において最重要なのは「広告(集客)」と「立地(選定)」です。
どれだけ料理が美味しくても、知られなければ誰も来ません。開業前に最も重視すべきは、
です。
「味で勝負」は尊い思想ですが、現実には勝負の土俵に立つ前に淘汰される店がほとんどです。
駅からの距離、通行量、周辺人口、競合、駐車場の有無――こうした要素をロジカルに分析しないまま出店すると、
そして立地の失敗は、努力ではどうにもならない固定条件です。
出店エリアと広告戦略を誤った店は、どれだけ現場力が高くても結果が出ません。逆に、立地と広告の設計がしっかりしていれば、多少オペレーションに粗があっても人は来ます。
つまり、調理スキルよりもまず「選定」と「伝達」の能力を持つべきなのです。
飲食人が本当に独立できるようになるためには、以下のような取り組みが必要です:
これは単なる「やさしさ」ではありません。そうすることで現場に当事者が育ち、組織としての強さも増すからです。
私たちは、飲食現場で働く人々の努力を無駄にしたくありません。
汗を流し、理不尽にも耐え、無遅刻無欠勤で働くその姿が、きちんと「将来の糧」になるように。
そのために、RBR合同会社では、実践型の経営教育や、独立支援の仕組みを提供しています。
飲食業を「一生使い捨てられる現場」ではなく、「自分の未来をつくる現場」へ。 その構造改革は、今ここから始まっています。